流産予防になる栄養知ってた?

2019.10.20

「ナイアシン」とはどのような栄養素なのでしょうか?

2017年8月、米医学誌「ニューイングランド医学ジャーナル(the New England Journal of Medicine)」に、オーストラリア・シドニーの研究チームは、“ビタミンB3は流産や先天異常を引き起こすリスクを低減する”という研究内容を発表しました。

研究内容の詳細と合わせて「ナイアシン=ビタミンB3」について今回は書いていきます!

 

流産予防にナイアシン①ナイアシンとは?

「ナイアシン」とは、「ビタミンB3」とも呼ばれ、ビタミンB群の仲間で水に溶ける水溶性ビタミンの一つです。

「ビタミンB3」の働きは主に3つ。

食べ物に含まれる糖質や脂質をエネルギーに変える

「ビタミンB3」は補酵素として、糖質や脂質から細胞でエネルギーをつくり出すのを助ける働きをします。

丈夫な皮膚をつくる

皮膚や粘膜の炎症を防ぎ、健康で丈夫な皮膚をつくるのをサポートします。

不足すると、皮膚炎・下痢・精神神経障害を主症状とする「ペラグラ」を引き起こす恐れがあると言われています。

ペラグラはイタリア語で「皮膚の痛み」の意味を表し、皮膚に赤い発疹が出たり、消化気管が犯されると吐き気や嘔吐、便秘や下痢という症状の病気です。

アセトアルデヒドを分解して、悪酔い・二日酔いを防ぐ

お酒を飲むとアセトアルデヒドが体内につくられます。これが悪酔いの原因になるのですが、ナイアシンはアセトアルデヒドを分解する働きがあります。

「ビタミンB3」は食べ物では主に、マグロやカツオ、牛や豚のレバー、玄米、大豆、卵、落花生に多く含まれています。

厚生労働省の日本人の食事摂取基準による年代別の「ビタミンB3」の一日の推奨量と、耐容上限量は下記の通り。

【推奨量】

●18~29歳女性:11㎎NE/日

●30~49歳女性:12㎎NE/日

●50~69歳女性:11㎎NE/日

【耐容上限量】

●18~69歳女性:250㎎NE/日

平成25年の国民健康・栄養調査では、女性は平均13.1mgNE摂取しており推奨量を充たしているといえます。

ただし、アメリカの栄養学雑誌の最近の調査によると、“ビタミンサプリメントを摂取しているにもかかわらず、妊娠中の女性の少なくとも3分の1は、妊娠初期の「ビタミンB3」濃度が低く、妊娠後期においても「ビタミンB3」レベルは妊婦の60%で低かった。”ということがわかっています。

これはアメリカの例ではありますが、アメリカと比べるとまだまだビタミンサプリメントを日頃から摂取する習慣がない日本では、もしかすると妊活中や妊娠中の女性の「ビタミンB3」不足が考えられるかもしれません。

 

流産予防にナイアシン②ポイントは「NAD」

では、なぜこの「ビタミンB3」が流産や先天性異常のリスク軽減に役立つのでしょうか?

ここでポイントになるのが「NAD」です。

「NAD」とは、【Nicotinamide adenine dinucleotide】の略で、日本語では「ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド」と言います。

何かの呪文でしょうか?長い名前ですね。笑

「NAD」は、体内で全ての細胞に存在しており、エネルギー産生やDNAの修復などの働きに深く関与しています。

今回の研究で研究者らは、流産や胎児の先天異常を経験した妊婦や家族の遺伝子を調べ、「NAD」の生産を阻害する遺伝子変異を突き止めたそう。

そして、この「NAD」の合成に欠かせない栄養素が「ビタミンB3」。

研究では、「NAD」欠乏マウスの胚を対象に「ビタミンB3」の投与による効果を調べ、その有意性を確かめたとのこと。

今回得られた結果について同研究チームは内容を発表し、“ビタミンB3を母マウスの餌に入れる前は、流産や胎児に多様な先天異常がみられたが、餌を変更した後はその両方ともみられなくなり、子どもはすべて健康体で生まれた。”と述べている。

つまり、「NAD」の欠乏が特に妊娠中に有害であり、「ビタミンB3」濃度が低いと流産や先天異常のリスクが高まる可能性がある、ということです。

同チームの研究では、稀少な遺伝的な問題がない正常なマウスにおいても、低レベルのNADが複数の先天性欠損や流産の原因となることが判明しました。

また、妊娠中のマウスに高用量のビタミンB3を投与すると、全てのマウスにおいて先天性欠損や流産が防止されたとのこと。

ですが、今回は発表は、あくまでもマウスによる研究段階であること、また、「ビタミンB3」は摂り過ぎにも注意が必要となります。

妊娠中の流産や胎児の先天性異常対策としては、葉酸の摂取が推奨されていますが、本当に葉酸だけでいいのか?と不安に思う方はいらっしゃると思います。

「ビタミンB3」は葉酸と共にビタミンB群の仲間になるので、サプリメントなどで摂る場合は、コンプレックス型(複合型)などで一緒に摂取するとよいでしょう!